今から22年前、「福山掃除に学ぶ会」結成の後すぐのことでした。
先輩の会、「広島掃除に学ぶ会」が暴走族の子供達とトイレ掃除をすることを聞き、
お掃除仲間数人と駆けつけました。
目的はもちろん子供たちの更生の為のお手伝いです。
真夏の日曜日の早朝、広島の袋町公園での開催でした。
背中に団の刺繍をした真っ白い戦闘服を着た子供達が、
十数名警察官と供に現れました。
中には中学生の女の子も混じっていました。
こんな朝早くからよく来たものだなあ!と感心して、
同じ班の刑事さんに話を聞いてみると、
彼らは土曜日の深夜から先ほどまで広島の中央通り周辺を
走っており、暴走族取締りの警察官に無理やり連れてこられたとのこと。
逃げ出したくても刑事さんと警察協力者に挟まれてどうにもならない
状態でした。
どうりで皆、眠そうで不貞腐れた顔をしているはずでした。
さてお掃除が始まり、子供と刑事さんがペアとなり一つの便器を一緒に
磨きました。
最初はお互い言葉も交わさず、いやいややっている様子が
ありありと見えましたが、掃除が進むとしだいにお互いに水がかかっただの
わしの方が綺麗になっているとか会話が始まり、
終わったころには照れながらも穏やかな顔と口ぶりになっていました。
最後の交流会での感想発表では、便所が綺麗になって気持ちよかったとか
これからは、便所を綺麗に使うとか嬉しい言葉が聞けました。
一回のお掃除で暴走族を辞めるということは無いでしょうが、
今まで周りの人に迷惑を掛けていたのだな、
ということを少しは感じてくれたのでしょう。
「百術一清に如かず」という言葉があります。
百回、巧言令色を唱えるよりも一回の心を込めたお掃除の方が相手の心に
染み渡るということです。
自分の心も相手の心も清らかに成る様なお掃除をしてまいりましょう。
吉岡誠司 拝
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